アレルギーの方にもやさしい卵を使ってないケーキ
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2012年5月
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菊家
 
〒879-5516 
由布市挾間町無何有の郷
TEL 097-583-3200 
FAX 097-583-5051
e-mail ask@kikuya-oita.net
 
     
     
 

小さな街の、小さなケーキ屋さんのお話しです。

街で一番おいしいと評判のケーキ屋さん。
今日も、みんなの笑顔を思い浮かべならが、せっせとケーキを焼いていました。

ある日。
いつものようにケーキを焼いていると、ひとりの女の子が通りかかりました。
「おや?」と思って見ていると、ショーウインドウの外でケーキをながめては
「はぁ。」とためいきをついています。
気になったケーキ屋さんは、思い切って声をかけてみました。
「いらっしゃいませ。お気に入りのケーキはありますか?」

 
     
  すると女の子は
「とてもいい香り。私もケーキを食べてみたいな〜。」
と言いました。
ケーキ屋さんは不思議に思って
「お気に入りのケーキがないのですか?お好きなケーキを作りますよ」とにっこり。
女の子は、ちょっと残念そうに言いました。
「ケーキにはたまごが入っているのでしょう?」
「はい。ケーキは“たまご”と“牛乳”と“粉”で作りますよ。フルーツもたくさん飾ります。」
ケーキ屋さんはやさしく言いましたが、
女の子は、ちょっぴり悲しそうな顔になってしまいました。
「私はたまごが苦手で食べるのがこわいの・・・。やさしいケーキ屋さんありがとう。」
そしてその場を去っていきました。
 
     
 

ケーキ屋さんはびっくりました。
ケーキを作るのに“たまご”は必要なもの。
でもその“たまご”を食べるのがこわい女の子がいる・・・。
みんなに笑顔になってもらいたいと思って毎日ケーキを作っていたので
悲しそうな顔の女の子を思いだして、ケーキ屋さんも悲しくなってしまいました。

その日からケーキ屋さんは、毎日いつものケーキを焼いたあと、
“たまご”を使わないでケーキができないか、試してみました。
けれど何度もやっても失敗の繰り返し。
“たまご”を使わないケーキは、いつものケーキに比べて
どうしてもふっくらとした生地が焼きあがりません。
やはり無理なのかな・・・。
あきらめようとするたびに、あの女の子の悲しそうな顔が浮かびます。
なんとかして、女の子の喜ぶ顔を見てみたい!と
女の子を思い浮かべ、作りかけのケーキを差し出しながらこう言いました。
「おいしいケーキを召し上がれ!」
すると!
いままで失敗ばかりだったケーキが、みるみるうちにふっくら焼き上がりました。

それから何日かたちました。
ケーキ屋さんが「おいしいケーキを召し上がれ!」と魔法のように願いを込めた
“たまご”を使わないで焼きあげたケーキは、たちまち街のうわさになりました。

そしてまたあの女の子がやって来ました。
「いらっしゃいませ。お気に入りのケーキはありますか?」
うわさを知らない女の子は、前と同じようにちょっぴり悲しそうな顔になって
「私はたまごが苦手で食べるのがこわいの・・・。やさしいケーキ屋さんありがとう。」
立ち去ろうとする女の子に、ケーキ屋さんはにっこり笑って言いました。
「ちょうどいい。今日は“たまご”を使っていない、おいしいケーキがありますよ。」

 
   
 

「え!?」
女の子はびっくりました。
これまでどのケーキ屋さんに行っても、
そんな言葉が返ってきたことはなかったのですから。

「おいしいケーキを召し上がれ!」
ケーキ屋さんは“たまご”を使っていないケーキを、そっと女の子に手渡しました。
女の子は、ゆっくり、おそるおそる食べてみました。

「おいしい!なんてステキなのかしら!」
初めて食べたケーキ。
甘くておいしいケーキ。
女の子はとても喜びました。
「どんな魔法を使ったの?ケーキ屋さんありがとう。」

ケーキ屋さんの魔法はやさしさです。
“たまご”を使わないで作るケーキは、
ケーキ屋さんのやさしい想いでふっくらふくらみます。
いろんな人に笑顔になってもらいたいから、
「おいしいケーキを召し上がれ!」と願いを込めて作ります。
だから“たまご”を使わないで作ったケーキはやさしい味がするのです。

 
  それからというもの、ケーキ屋さんには“たまご”を使わないで作った
魔法のケーキを食べた人たちからお手紙が届きます。
「生まれて初めてケーキを食べたよ!ありがとう。」
「みんなと一緒に食べるケーキはおいしかったよ。」
 
  みんなの笑顔がケーキ屋さんの元気のもと。
今日も、みんなの笑顔を思い浮かべならが、せっせとケーキを焼いています。
街で一番おいしいと評判の、小さな街の、小さなケーキ屋さんのお話しでした。