ケーキ屋さんはびっくりました。
ケーキを作るのに“たまご”は必要なもの。
でもその“たまご”を食べるのがこわい女の子がいる・・・。
みんなに笑顔になってもらいたいと思って毎日ケーキを作っていたので
悲しそうな顔の女の子を思いだして、ケーキ屋さんも悲しくなってしまいました。
その日からケーキ屋さんは、毎日いつものケーキを焼いたあと、
“たまご”を使わないでケーキができないか、試してみました。
けれど何度もやっても失敗の繰り返し。
“たまご”を使わないケーキは、いつものケーキに比べて
どうしてもふっくらとした生地が焼きあがりません。
やはり無理なのかな・・・。
あきらめようとするたびに、あの女の子の悲しそうな顔が浮かびます。
なんとかして、女の子の喜ぶ顔を見てみたい!と
女の子を思い浮かべ、作りかけのケーキを差し出しながらこう言いました。
「おいしいケーキを召し上がれ!」
すると!
いままで失敗ばかりだったケーキが、みるみるうちにふっくら焼き上がりました。
それから何日かたちました。
ケーキ屋さんが「おいしいケーキを召し上がれ!」と魔法のように願いを込めた
“たまご”を使わないで焼きあげたケーキは、たちまち街のうわさになりました。
そしてまたあの女の子がやって来ました。
「いらっしゃいませ。お気に入りのケーキはありますか?」
うわさを知らない女の子は、前と同じようにちょっぴり悲しそうな顔になって
「私はたまごが苦手で食べるのがこわいの・・・。やさしいケーキ屋さんありがとう。」
立ち去ろうとする女の子に、ケーキ屋さんはにっこり笑って言いました。
「ちょうどいい。今日は“たまご”を使っていない、おいしいケーキがありますよ。」 |